恋してはいけない人に恋をしてしまった、、、

 

 

翌朝早くに恵子ちゃんは家へと帰っていった。
お父さんの車を借りて送るつもりだったのだが、

「午後からお友達の結婚式でしょ?
それまで休んでて。昨日は遅くまで起きてたし」

という恵子ちゃんの言葉に甘えさせてもらうことにした。
彼女が帰った後、恵子ちゃんの実家に電話を入れた。
恵子ちゃんの母・浩美さんが出た。

「すみません。昨晩は恵子ちゃんを連れまわしてしまって」

「いいええ。健吾君なら安心。また誘ってあげてね」

安心…か。
(早いうちに恵子ちゃんの両親にも挨拶しなきゃな)
少しも気は重くはならず、むしろその日を焦がれた。

昼前。
式から参列することになっていたので、早めに式場へと向かった。
郊外の大きなレストランが式場だった。
レストランウェディングというやつだ。
東京などでは珍しくないが、まだまだこの街では目新しい。
控え室で待っていると、友枝が顔を見せた。
俺の姿を認めるや、小走りに駆け寄ってくる。

「おおおつかさぁぁぁん」

予想を裏切らず、友枝はガチガチに緊張していた。
真夏とはいえ、空調のきいた室内なのに、燕尾服の襟元が汗でびっしょりだ。

「だいじょうぶかぁ?」
「気持ち悪いです。吐くかも」
「緊張してるだけだよ。しっかりせい(笑)」
「ダメです。吐いてきます」

そそくさと友枝が手洗いへと消えた。
どうやら式に参列するのは新郎新婦の友人がメインのようで、
会社関係は俺と上司だけだった。
上司と話しているのも飽きた俺は、式場内を当て所もなくうろついた。

一際賑わっている部屋があった。
覗いてみると、女友達に囲まれている芽衣子さんの姿があった。
純白のウェディングドレスが、窓から差し込む陽光にやわらかく包まれていた。
美しい。
この姿を見て、ため息の出ないヤツなどいないだろう。
見惚れていたら、芽衣子さんも俺の姿に気づいた。
何か言いたげに、首を伸ばしている。
近くに行きたかったが、
デジカメや携帯を手に群がる女性たちに気圧され、

(また後で)

と手を振り、部屋を出た。
廊下で友枝と再会した。
文字通りスッキリとした顔だった。

「大塚さん!芽衣子さん、もう見ました?」
「うん」
「綺麗でした?綺麗でした?俺、まだ見てないんです」

軽~く、友枝の頭をひっぱたいた。

「ああっ、セットが!セットが!なにするんスか!?」
「さっさと行け(笑)」

芽衣子さんの部屋の方向に、友枝をドンと押してやった。
やっぱりというか、式の間中、ずっと友枝は泣いていた。
芽衣子さんはこれ以上ないくらいやさしい顔で、友枝の顔にハンカチを宛がっていた。
ふたりの姿に、参列者から微笑みがもれた。

(でも…俺も泣いちゃうかもしれないな)

ブーケを投げる芽衣子さんの姿に、未来をダブらせた。

 

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